【記事】中国:景気刺激策求める圧力増大、インフレ鈍化や住宅販売の減少で

11月10日(ブルームバーグ):中国の10月のインフレ率が落ち着きを見せ住宅販売は減少し、工業生産も1年ぶりの低い伸びにとどまったことで、政府に景気刺激策を求める圧力が強まっている。

中国国家統計局が9日にウェブサイトに掲載した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.5%上昇と、5カ月ぶりの低い伸びだった。同月の工業生産は13.2%増。同月の住宅販売額は前月比で25%減少した。

バークレイズ・キャピタルエコノミスト、常健氏(香港在勤)は政府による小規模ビジネス支援や低コスト住宅プロジェクトに言及し「選択的な緩和は既に進行中だ」と指摘。その上でさらに「積極的な」緩和策を取るかどうかはインフレ率と成長率の一段の低下次第だろうとの見方を示した。

中国当局は欧州債務危機で輸出需要が脅かされる状況を踏まえ、景気を落ち込ませることなく消費者物価を抑制して住宅価格を市民の手に届く水準にすることを目指している。国際通貨基金IMF)のラガルド専務理事は9日に北京で、世界的な混乱が悪化した場合に中国にとって「防御の最前線」となるのは財政政策だろうとの見解を示していた。

ブルームバーグ・ニュースによる今週のエコノミスト調査では、インフレ率が通年目標の4%を超えて推移しているため、中国政府が利下げを伴わない形で財政・金融政策を緩和するとの見方が大勢だった。HSBCホールディングスは9日、「的を絞った緩和策」として中小企業支援措置や公営住宅建設やインフラ整備が盛り込まれる可能性があるとの見方を示した。