【記事】大気汚染基準を厳格化へ=ネット民意が政府動かす―中国

北京など中国の多くの都市で空がスモッグで覆われる日が多くなり、市民から大気汚染が深刻化しているとの懸念が強まる中、環境保護省高官は来年、北京や上海、広州(広東省)などで、より厳格な大気測定基準を設ける可能性があることを明らかにした。16日付の中国紙・南方都市報(電子版)が伝えた。

 懸念の発端は、10月末から11月初めにかけて北京で続いたスモッグについて、市当局が「軽微の汚染」としたのに対し、北京の米国大使館が独自に測定して「危険状態」と公表。市民はミニブログ「微博」で「どっちが本当なのか」と困惑を強めた。

 米大使館は、肺の奥深く入り込み、肺がんやぜんそくなどをもたらすとされる直径2.5マイクロメートル以下の粒子状物質「PM2.5」を観測。これに対して北京市はより大きな「PM10」を測定するため、厳格さに欠けるとの批判が出ている。

 中国紙・中国青年報が8日付で伝えたネット調査でも「69.8%の人が環境保護部門の観測データは自分の実感とずれている」と回答した。

 こうした事態を受け、温家宝首相は15日、「われわれは環境観測基準の改善を重視し、国際(基準)へ徐々に近づけなければならない」(新華社電)と強調。ネットの民意が、基準厳格化に及び腰だった政府を動かした形だ。 

時事通信社