「記事」日本ドラマや韓流を超えられるか?タイドラマがブームに―中国

2011年8月18日、中国でタイのテレビドラマが韓国や日本のドラマをしのぐブームになっている。

しかし、似たような内容のものが多く、このままでは一過性のブームに終わる可能性がある。

華字紙・日本新華僑報は、タイドラマに欠けているものは他のドラマに取って替わられないようなオリジナル性だと指摘した。

上海のタイ総領事館文化局が「タイドラマの何が好きか」をインターネット調査したところ、「青い空、白い雲などの美しい風景」「ヒーロー、ヒロインがきれい」など、“見た目”に高い評価を得た。

また、あるメディアが日本、韓国、米国、タイのドラマについて人気調査を行ったところ、タイドラマが8000票以上獲得したのに対し、かつて一世を風靡した日本や韓国ドラマはあわせて2000票にも満たなかった。

関係者は、タイドラマは韓国ドラマの緻密さや米国ドラマの客観性を学んでいることに加え、主役の見た目の美しさ、中国人の好みに合った紆余曲折の末のハッピーエンドのストーリーなどが受けている原因だと分析する。

しかし、タイドラマにはまだ韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」のような中国人なら誰でも知っている大ヒット作がない。裏を返せば、ブームが一時的なもので終わる可能性があるということだ。

あるタイ人俳優は「タイドラマの多くは、男女間の憧れ、嫉妬、恨みなどがモチーフとなっており、女性2人が男性1人を、または男性2人が女性1人を争うような人間関係が中心で、どれも似たり寄ったりになっている」と中国メディアのインタビューに答えたことがあった。

かつてヒットした韓国ドラマは、アイドルドラマだけでなく、ラブストーリー、古典、サスペンス、立身出世など、あらゆる世代をカバーできる内容を取り揃えて成功した。

しかし、中国で放送されているタイドラマは恋愛を中心としたアイドルドラマ一辺倒で、若者にしか受け入れられておらず、いずれ飽きられる可能性が高い。

韓国ドラマや日本ドラマがそれぞれの文化の特色を持った「韓国焼肉」「日本料理」だとすれば、タイドラマは、見た目は良いが特徴のない「アイスクリーム」に過ぎないかもしれない。

中国のプロデューサーは「オリジナリティーこそが市場競争に必要な最終兵器。タイドラマにはそれが欠けている」と指摘している。(