中国の対外直接投資、2010年に初めて日本超える

商務部、国家統計局、国家外貨管理局が6日に福建省アモイで共同で発表した「2010年中国対外直接投資統計公報」によると、2010年末の中国の対外直接投資の規模は累計3172億1000万米ドルとなり、世界17位だった。2010年の対外直接投資は前年同期比21.7%増の688億1000万米ドルで、世界5位。9年連続で増加を保ち、年平均増加率は49.9%だった。


◆対外直接投資、初めて英日など超える

中国の2010年の対外直接投資は前年同期比21.7%増の688億1000万米ドル。9年連続の増加となり、年平均49.9%増えた。うち、金融分野以外が25.9%増の601億8000万米ドル、金融分野が86億3000万米ドルだった。国連貿易開発会議(UNCTAD)がまとめた「2011年世界貿易報告」によると、中国の2010年の対外直接投資は同年の国際マネーフローの5.2%を占めて世界5位となり、日本(562億6000万米ドル)、英国(110億2000万米ドル)などの対外投資大国を初めて超えた。

  2010年末の対外直接投資額の累計は3000億米ドルを突破。オセアニア、欧州向け投資の伸びが大きく、また累計額ではアジアが2281億4000万米ドル、南米が438億8000万米ドルで、それぞれ71.9%、13.8%を占めた。国有企業が対外直接投資の累計額に占める割合は前年同期より3ポイント低い66.2%に低下した。

業種別にみると、前年同期比での伸びが最も大きかったのは製造業で、累計額は108.2%増の46億6000万米ドルと全体の6.8%を占めた。伸びが最も小さかったは鉱業で、累計額は同57.2%増の57億1000万米ドル、全体に占める割合は8.3%だった。

商務部の瀋丹陽報道官は、「中国の世界ランキングが5位になったことは、中国が世界規模における対外直接において重要な勢力となったことを示す。現在も速いペースで規模を拡大している」と述べ、「わわわれは、対外投資の累計額とフローをみるだけでなく、その増加ペースに注目すべきだ。ここ数年は年間2けたのペースで増えており、このハイペースを保っていくと予想できる」と楽観的な見通しを示した。

中国産業海外発展計画協会の範春永秘書長(常務副会長)も以前に、「企業の海外進出戦略を実施し始めた当初と比べれば、我が国の対外直接投資は多くの制約を打ち破った。対外投資は数量上での速い成長だけでなく、クオリティ面でも重要な変化が徐々にみられており、成熟した成長期を迎えたと言える」との見方を表明。中国の現在の対外投資と外資誘致の比率は1対2だが、2015年前後に1対1になる見通しを示した。「中国政府が対外投資の行政審査過程を大きく簡素化することなどが、対外投資の良好で速い成長を促すだろう」とコメントしている。


M&Aは海外で4割

統計公報によると、中国企業による海外でのM&A(企業の合併・買収)の比率は4割を超え、投資に占める比率も上がっている。2010年の中国企業M&Aを通じて海外直接投資額は前年比54.7%増の297億米ドルと、海外直接投資全体の43.2%を占めた。M&A分野は鉱山開発、製造、発電・送電、専門技術サービス、金融などだった。対外直接投資によって得た利益を使って再投資した額は240億米ドルと前年より48.9%増え、対外直接投資に占める比率は前年の28.5%から34.9%に拡大した。

  以前に複数のメディアが中国国有企業の海外でのM&Aの失敗率の高さを報じたことについて商務部の瀋報道官は、「一つのM&A案件の成功を判断するには、ある程度の時間を要する。もちろんM&Aにリスクがあることは確かだが、成功した場合に得る利益はとても大きい」と説明。「海外M&Aは市場の規律を十分に尊重し、市場調査やフィジビリティ調査、リスク評価をしっかりと行い、やみくもなM&Aを慎むべきだ」と示唆した。

  現在の中国は途上国の中で最も外資を引きつけている国であると同時に、対外投資の成長が途上国の中で最も速い国であると紹介し、「『中国国際投資貿易商談会』は我々の外資誘致と海外進出の両面を兼ね備える重要な場だ。より多くの国が同商談会に興味を持つだろうが、それ以上に望むことは中国企業に他の国への投資を促すことにある」と述べた。今月8日からアモイで始まる今年の同商談会については、米国などの先進国とアフリカなどの途上国がみな参加し、アフリカからは44の団体がエントリーしていることを明らかにした。

  地方の対外投資が活発で、中でも西部地域の投資額の伸びが最も大きいことも紹介した。統計によると、地方の金融機関を除く2010年の対外直接投資額は前年比84.8%増の177億5000万米ドルとなって2005年の8.6倍に拡大、8年連続で速い伸びを維持した。うち浙江省遼寧省山東省が投資額の上位3位。地域別では、西部が107.1%増の23億8000万米ドル、中部が7.6%減の14億6000万米ドル、その他地域が102.4%増の139億1000万米ドルだった。

【記事】中国証券報