【記事】中国8月CPI、前年比6.2%上昇−3年ぶり高い伸びから鈍化

中国の8月の消費者物価指数(CPI)は、食品の値上がりに歯止めがかかり、3年ぶりの高い伸びとなった前月から鈍化した。この結果、国内の景気減速に加え、世界的な成長鈍化が同国の輸出と雇用を脅かす中で、政策当局は利上げを休止する余地が大きくなった。

中国国家統計局の9日の発表によると、8月のCPIは前年同月比6.2%上昇した。ブルームバーグが31人のエコノミストを対象に実施した調査の中央値と一致した。7月は同6.5%の上昇だった。

中国は過去1年間に5度の利上げを実施したが、CPI伸び率の鈍化で金利据え置きが促される可能性がある。欧州債務危機と米景気回復のもたつきで輸出見通しに暗雲が漂っており、アジアでは既に韓国やインドネシアが利上げを休止した。温家宝首相は先週、物価の安定は依然最優先課題だが、政策が実体経済に「過度の衝撃」を与えることは避けなければならないと述べた。

IHSグローバル・インサイトの北京在勤エコノミスト、アリステア・ソーントン氏は、インフレは「鈍化してはいるが、消えてはいない」とした上で、「ピークを付けたかもしれないが、かなりの期間、高止まりするとみられ、これが金融政策を複雑にするだろう」と指摘した。

CPI統計を受け中国株は上昇。上海総合株価指数は一時1%高を付けた後、上げ幅を縮小し、現地時間午前11時9分(日本時間午後0時9分)現在、0.5%高の2512.12で推移している。
             食品インフレ
CPIの伸びが鈍化したのは4カ月ぶりで、鈍化幅は昨年12月以降で最大。
統計局によると、8月の食品のインフレ率は13.4%と、4月以来の伸び鈍化となった。豚肉価格の上昇率は45.5%と、6、7両月の57%を下回った。
8月の食品を除いたインフレ率は3%と、7月の2.9%を上回り、6月と同水準となった。6月の数値は約6年ぶりの高水準だった。

【記事】ブルームバーグ