中国における外国人社会保険について

中国の社会保険とはどのような種類及び仕組みがあるのでしょうか? 
中国では「5険」と呼ばれる5つの保険政策があり、では具体的にはどのような保険が含まれるのでしょうか? 

企業と従業員はそのすべてについて納付義務があるのでしょうか?
保険の未納付を従業員と約定した場合は、無効となるのでしょうか?
中国における外国人社会保険について下記のとおり説明をさせていただきます。

1.中国の社会保険

(1)概要

中国の社会保険は、一般に「5険」と言います。「5険」とは以下の5つの分類に分かれます。
? 養老保険
? 医療保険
? 失業保険
? 生育保険
? 労災保険

条件は異なるものの、企業、従業員それぞれに加入義務があります。
企業所在地域の戸籍を持たない従業員の場合、5つの保険にすべてに加入できるとは限りません。

(2)外国人従業員の社会保険への加入義務

外国人従業員についても、2011年7月1日施行の「社会保険法」第97条により、社会保険への加入義務が課されています。詳細は、2011年10月15日施行の「中国国内で就業する外国人の社会保険加入に関する暫定弁法」により示されました。

ただし、実務面では、開始されないと不明な部分及び、運用実績が積まないとわからない面が残っているようです。

たとえば、外国人従業員が、保険待遇の享受資格を得る前、すなわち納付年数が15年未満で日本へ帰国をした場合、その納付済み自己負担保険料は社会保険口座へ返納されます。

また男性60歳・女性50歳以上の外国人で15年以上社会保険金を支払いしている場合は、中国国内外を問わず退職金の支払いが行われるということです。

条文では、外国人も中国人同様、受給資格のない個人は、申し立てれば、個人口座にある保険料残高を一括で返済してもらえることになっています。

しかしながら、実際にどのような手続きを踏む必要があるのか、そもそも実際に返済してもらえるのかは、現状では不透明な部分が残っているのです。

また、以下の注意点も確認した上で、企業としては今後の中国政府及び日本政府の動きに注視する必要があります。

?外国人とは中国・香港・マカオ・台湾人は含まれない
?外国人従業員は就業ビザを取得から30日以内に、中国の社会保険を加入必要
(就業目的ではなく、顧問として来訪する者及び60歳以上の高齢者は中国社会保険を加入する必要は無い。)
?下記二国は、中国との協定により一部保険制度の免除がある
ドイツ:養老保険及び失業保険の加入義務は無い
韓国:養老保険の加入義務は無い

?社会保険納付基準は深セン在住外国と非深セン戸籍中国人と同額
深セン戸籍持っていない中国人の基準と同じです。
(企業側養老保険の負担分は深セン戸籍の人より1%減らしていることです。)

?外国人従業員についての内容詳細は、2011年10月15日施行することですが、未だに発表がされず修正箇所もあるようです。養老保険は一応承認されましたが、失業保険についてまだ相談しているようです。深圳においては現時点深セン地方条例を基準としております。
?生育保険:外国人は中国国内で子供を産む時、生育証明を提供しなくても問題はありません。


2.企業と従業員の納付義務

企業は5険すべてに保険料納付義務があるのに対し、従業員は1、養老保険、2、医療保険、3、失業保険の保険料納付義務を負います。

現時点での深セン市の平均月収は4,205元です。社会保険金額算出の基準としては、平均月収の60% 2,523元が最低基準となり、最高基準が平均給与の3倍、12,615元となります。12,615元以上の場合でも増額されることはありません。


3.社会保険への加入・保険料の納付

社会保険への加入・保険料の納付は、企業および従業員の法定義務です。たとえ企業と従業員間に社会保険料を納付しないという約定があったとしても、自らその法定義務を免れることはできません。すなわち、そのような約定は無効となります。

また、実務では、一部の企業が従業員のために商業保険に加入している場合がありますが、これは企業および従業員の社会保険加入義務を免れる理由にはなりません。

【全国共通の納付基準】
現在、国が保険料の全国共通の納付基準を定めているものの、各地方政府にある程度の自由裁量権が与えられており、地域ごとに納付基準を定めることができます。



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