【ニュース】珠江デルタに倒産ラッシュ気配

珠江デルタに倒産ラッシュ気配 東莞の玩具業界 コスト吸収絶望

 中小企業の倒産が相次いだ2008年に続き、新たな“倒産ラッシュ”懸念が高まっている広東省中部の街、東莞(とうかん)市。今のところ大きな倒産の波は押し寄せていないものの、融資を受けられず、資金繰りが立ち行かなくなる企業も現れており、事態は深刻だ。

 中でも、もともと利益率の低い玩具メーカーは、原材料価格や人件費の高騰、人民元の切り上げなどが逆風となり、新たな人材を採用することすらできないほど追い詰められている。

◆融資かなわず

 中国の玩具メーカーは80%以上が受託製造(OEM)メーカー。核心技術が発注元の他社ブランドが握っていることから、技術革新能力に欠ける上、顧客や市場構造が単一的であるため、利益率が低く、リスク回避能力もない。

このため東莞では、中小企業全体では生産高100元(約1200円)に対して平均5.3元の粗利を生み出しているが、玩具業界はその3分の1にも満たないわずか1.63元にとどまっているという状況だ。

「賃金の引き上げや原材料価格の高騰など生産コストの上昇で利益がさらに減った」と話す東莞旭彩玩具の責任者は「これではほとんどの企業が生き残れない」と不安を募らせる。

広東省中小企業局の張文献局長によると「確かに中小企業の経営状況は悪化傾向にあり、コスト上昇や流動資金不足から、発注があっても受注できない企業すらある」という。

東莞厚街にある玩具工場の責任者は「銀行はリスクが高いとして、玩具加工メーカーに対する貸し付けをストップしている。発注を受けるには、利率の高い民間貸借(非正規金融)に頼らざるを得ない」と嘆く。

中小企業自体がもともと融資リスクが高い上、東莞の中小企業は大部分が高度な技術を必要としない加工工場であり、管理や制度も整備されていない。このため銀行は、東莞の中小企業への融資に消極的で、玩具メーカーにいたっては融資そのものが行われていないのだ。

◆負債率50%超

しかし、民間貸借は年間利率が20〜30%と高い。ただでさえ経営難に陥っている玩具メーカーにとり、こうした民間貸借金融の利用は、急場しのぎとはいえ、自殺行為にほかならない。

今年4月、中国玩具業界の累計製品販売コストは昨年同期比19.69%増の315億3000万元まで増加。赤字企業は累計で全体の22.6%に当たる261社、負債率は50.18%。就業者数は昨年末の67万3500人から57万7900人まで減少した。

こうした状況を踏まえて広発銀行(CGB)東莞厚街支店の営業マネジャーは「今年下期、東莞には大規模な中小企業倒産の波が押し寄せるだろう」と予測する。

中国は、5大輸出産業の一つである玩具では世界最大の生産・輸出国で、10年は輸出額と国内売り上げを合わせ、売り上げ規模が810億元に達した。中でも珠江デルタは玩具売上高が全国の70%を占め、08年には玩具関連企業が8000社を超えた。しかし、金融危機でその数は5000社まで減少、再び“倒産ラッシュ”に見舞われれば、その規模はさらに縮小するだろう。(国際商報=中国新聞社)

【記事本文】
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110804/mcb1108040503008-n1.htm

★問合先:ブルーネットグループ 市場部お客様センター
TEL: +86-755-8633-8194日本語/中国語対応 
E-Mail   :epm@bluenet.cn
ホームページ:www.bluenet.cn
EPMブログ  :http://d.hatena.ne.jp/epmclub/
新浪ブログ :http://blog.sina.com.cn/epmclub
Twitter   :http://twitter.com/shenzhen_cn