【記事】日系企業はなぜ“仕組みづくり”で苦労するのか? その弐

ダイアモンド・オンライン5月掲載記事

日系企業はなぜ“仕組みづくり”で苦労するのか?
キーマン育成から始める「現場密着型」のシステム構築
丁柱・深セン市網藍実業有限公司 (Blue Net)董事長に聞く

記者:中国には、日系の大手システム会社も多く参入していると思います。Blue NetのITシステム事業は、どんな分野で勝負していますか。

丁柱:うちは「現場密着」型でシステムを導入しているのが特徴です。日系大手システム会社の多くはシステムの「機能」にこだわりますが、我々は設計、開発段階からシステム導入後の「運用」にこだわっています。


 中国の場合、日本以上に「いかに現場で使ってもらえるシステムをつくるか」が重要だからです。そうでなければ、本当に使えるシステムとは言えません。

 日本の場合は、ジョブローテーションなどの制度を通じて、会社業務の全体の流れを理解している人材が少なからずいるのが普通ですが、中国では違います。ジョブローテーションもなく、人の出入りも多いため、日系企業でも中国現地法人では、システム全体、業務全体を俯瞰して見ることのできるキーマンが少ないのが現実です。

 いなければ、育てるしかありません。我々は、システムを設計・開発する段階から最終の現場での運用状況を想定して、顧客企業の中でキーマン候補を探し、育成しながら、そのキーマンにできるだけ長くいてもらうための待遇改善も含めて、顧客企業と協働していきます。

 中国でのシステム導入では、機能や運用手続きを、できるだけシンプルにする必要があります。機能盛りだくさんの豪華なシステムをつくっても中国人スタッフでは全てをまだ使い切れないし、中国では事業環境の変化のスピードも早いので、すぐにシステムが業務に合わなくなってしまいます。中国では、シンプルで、使いやすく、費用的に安いシステムが一番なのです。

記者: 一方、人材紹介事業については、中国人求職者を日系企業に紹介するのがメインでしょうか。日本人求職者を中国ローカル企業に紹介するサービスもやっていますか?

丁柱:うちは深センを中心とした華南地域において、中国人ホワイトカラー人材を日系企業に紹介する会社の草分け的存在であり、紹介件数もナンバーワンです。現在は、華東地域にも事業を拡大しています。

 最近は、中国ローカル企業から日本人技術者のヘッドハンティングの需要もあるのですが、なかなか成功しないのが実情です。中国ローカル企業が求めている技術者は、日本人でもエース級の人材だけです。単に大企業の技術部門に勤めている(いた)というだけでは、中国ローカル企業は興味がありません。

 逆にエース級の人材に対しては、日本以上の報酬を提示する中国ローカル企業も少なくありません。ただ、日本企業のエース級の技術者は日本でも大事にされているので、中国ローカル企業にわざわざ転職してチャレンジしようと言う人はまだまだ少ないのが現状です。

記者:丁さんは、すごいスピードでいろいろな分野へ事業を拡大していますね。

丁柱:多いときで9個の会社を経営していましたが、事業拡大のスピードが早過ぎたと、今は反省しています。私はスピード感を持って前進するタイプなので、ビジネスチャンスに気付くとすぐに始めないと気が済まないのです。

 そのお陰で、たくさん失敗もしました(笑)。これまでの失敗から学んだことは、「自分がしっかりと時間やエネルギーを投入してコミットする事業」か、「信頼できる人間に思い切って任せていける事業」しか成功しないということです。中途半端はダメなんですね。今は反省して、信頼できるヒトを増やしながら、事業を拡大しようと思っています。

 数年前からは、会社の経営管理も後任者の日本人に任せ、私は自分の得意な新規事業開発やR&Dにフォーカスしています。会社の社長も私ではなく、別の人にやってもらっています。

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