ブルーネット人材発 人的資源マネジメント情報シリーズ(六) 社員の日本語研修について

人材流動性が高いといわれる中国において、いかに中国人従業員のES(従業員満足度)を上げるかは、長い間企業を悩ませる課題の一つです。ボーナスを支給したり、賃上げしても効果が見えないと訴える企業は少なくありません。

そこで、意外なところに日系企業の強みが潜んでいたのです。今日は心理型福利の一つである社員の日本語研修についてお話させていただきます。
まずは、ある財務人材の履歴書をご覧ください。

この人材は財務資格も経験も有し、会社での地位もある程度獲得しています。このまま勤め続ければ、財務一筋で安定したキャリア人生を歩めるはずです。

しかし、上司が変わり、日本語を使う機会が少なくなったことを理由に転職しようと考えています。自分のキャリアデザインに「日本語能力」を一つの指標として設定しているわけです。
実際に、ブルーネット人材のキャリアコンサルタントによると、日本語学科の新卒者と日本語専門学校での再教育を受けた人材のほとんどは、就職の基準を業種業界問わず「日本語が使える」仕事を希望します。また、20代30代の一般スタッフに転職理由を聞くと、2、3回離職のうち、少なくとも1回は「日本語を使う機会がなかった」と答える人が多いそうです。


では、なぜこの現象が起きているのでしょうか。中国の教育の現状は、やはり英語を必須科目にし、日本語を第二外国語または技能の範疇に入れるのは主流です。

日本語を勉強するのに日系企業で日本人に教わるのが数少ない選択肢の一つとなったのです。また、世界中に英語が通じる国がたくさんあり、英語の種類も様々ですが、日本語を使う国は日本だけです。

いかに日本人らしく日本語をしゃべられるようになることは、日本語人材の努力の目標です。さらに、近年、インターネットの普及に伴った漫画やアニメーションなど日本コンテンツ産業の中国進出や日本への旅行ブームの影響を受けて、自然な日本語を話せることが憧れの元ともなっています。

一方、企業側の考えは如何なるものでしょう。ブルーネット人材が去年行った『華南地域日系企業 福利厚生普及率調査』において、「中国人の日本語研修または日本行き研修」を実施される企業は72.2%を占め、日系企業の人材教育への熱心さを滲ませています。

しかし、工場専門用語の研修を中心に行う企業が多く、敬語やビジネス日本語の研修を実施する企業はまだまだ少数派です。「仕事するのに十分です」の理由で「報告書の作成」や「日本文化」などいわゆる上級レベルの日本語研修を躊躇しています。

筆者はかつて某大手販売会社の中国人社員向けに日本語研修を担当したことがあり、意外にも女性用語と男性用語のパターンは一番受けがよかったです。日本人社員は男性ばかりだからです。女性スタッフは女性用語で話しただけで、「日本語上達したね」と褒められて、仕事に対する意欲も更に沸いてきたと、会社全体の雰囲気作りにもつながったことで研修の効果についてご好評いただきました。

コミュニケーションの十分さを考えるとき、大抵の日系企業は日本語の上手さを人材採用・評価時の重要指標とする傾向にあります。適切な日本語研修は企業と日本語を上達させる願望を持っている人材の間の架け橋になるのではないかと思われます。

次回は社員旅行についてお話をさせていただく予定です。

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