【記事】最低賃金引き上げ見送る

【香港時事】8日付の香港各紙によると、中国南部の広東省政府は7日、来年1月に予定していた月額の法定最低賃金の引き上げを見送ると発表した。欧州債務危機などによる欧米の景気減速で、多くの省内輸出企業が苦境に陥っているためとみられる。

広東省は域内総生産(GDP)や貿易額が全国で最も大きい中国経済のけん引役。他の省も同省に追随して、最低賃金を当面据え置く可能性が大きい。

最低賃金の引き上げ見送りは広東省政府が香港で開いた企業向け政策説明会で明らかにされた。同省は最低賃金を16~20%引き上げるとされていたが、同省に進出している企業が多い香港経済界は、最低賃金引き上げを延期するよう省政府に求めていた。

中国では近年、各地の最低賃金がほぼ毎年上昇し、広東省省都広州市中心部では現在1300元(約1万6000円)。独自に最低賃金を設定している経済特区の同省深セン市も1320元と全国最高の最低賃金を1月に引き上げる予定だったが、省政府に倣って見送るとみられる。

広東省の輸出額は9月以降、前月比で減少。省政府は「輸出環境は世界金融危機が起きた2008年並みに厳しい」として、各種の対策を講じている。

時事通信