中国人の社会保険にまつわる事情

中国の社会保険は人材自治体ごとに管理されており、例えば東莞から深センに転職する場合、社会保険の移動はできません。
(転職先の戸籍がなければ受け付けない自治体が多く、また手続きは煩雑です。)しかもその場所で15年加入しなければ退職後に年金がもらえません。

したがって、大量の労働者は仕事を変わるたびに掛けた保険を解約して払い戻しをします。

地域によっては農民工の「退保率」は95%にも上がります。

特に春節の時期は仕事をやめて故郷に帰る労働者が多いので、各地の社会保険局はごった返します。

払い戻しの時には、個人負担の部分しか払い戻されず、企業負担分はそのまま残って、地方政府の収入源になります。

つまり、せっかく企業が社員のために掛けた保険料が別の懐に入ってしまうことになります。以前労働者たちは、社会保険に入るのを嫌い、企業に「社会保険をかけなくてもよいからその分給与を上げてくれ」と頼むことが横行していました。

労使合意の下で東莞や深センなどの社会保険加入率は非常に低い状態が続いていました。

しかしながら今回の新労働契約法では、社会保険を掛けることが義務化されました。

社会保険を支払わないことは、給与の不払いと同列に論じられることになり、罰則が非常に厳しくなっています。

具体的には、企業が社会保険に入らないと労働者はいつでもその場で企業を去ることができ、また、企業は急に去った労働者に対しても規定の経済補償金を払わなければなりません。

(経済補償金は1年につき一ヶ月です。)したがって、労働者のほうから「もったいないから社会保険に入らないでくれ」と提案されたとしても昨年までのようにそれを聞き入れてはいけません。この約束は法的には無効ですし、その労働者が会社を去るとき、会社が社会保険に入ってくれなかったと訴訟を起こされる危険もあります。

社会保険に関しては、現在省レベル、国レベルで統一管理の構想が持ち上がっています。

しかし、各自治体で養老保険の保険料率が異なったり、農民工の出身地の農村では電子化されていなかったりして現実は容易ではなく、少なくとも国レベルでは2年以内にできる見込みは無いとされています。

それまでの間は、社会保険をかけている場所によって労働者の移動は制限され続けることになります。

社員を雇うときは、その人材がどこの戸籍を持っており、また現在どこで何年保険を掛けているかに注意が必要で、なるべく現在地元に勤めている人を雇ったほうが無難でしょう。


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