200元(新卒者初任給と農民工最低賃金の差額)

2003年以来、中国の大学新卒者の初任給は平均1500元台にとどまり、去年より引き上げられ続ける農民工最低賃金との差はどんどん縮まり、わずか200元程度となりました。

過去十年間において、中国の大学は毎年30%の比率で新入生募集人数を拡大し続けてきました。

その結果、毎年大量の新卒者が社会に出て、就職情勢に大きく変化がありました。特に、2008年は金融危機などの影響を受けて、約600万人の新卒者のうち、3分の1の人は卒業後一年間に就職できなかったといいます。

一方、2010年に起きた一連の人事労務トラブル、そして製造業や建築業のワーカ不足現象は農民工最低賃金の引き上げを牽引しています。

各地最低賃金のアップが相次ぎ、今年に入ってから、広東省は率先して最低賃金を1300元台まで引き上げました。

これで、大学新卒者と農民工のスタートラインとの差はわずか200元程度までに縮まりました。

さらに珠江デルタの一部地域では技術労働者の収入は国営企業や政府機関に就職する大学新卒者の収入よりも上回っているといいます。

こういった現象は中国国内で大きな議論を起こしています。

まずは「読書無用論」の蔓延が懸念されています。
大学に入るまでの激しい競争により、親は莫大な経済負担がかかり、子供も受験勉強で遊びの時間を犠牲にしてしまうまでの意味があるのでしょうか。

また、今まで低すぎた農民工の収入が合理的な範疇に近づき、それなりに社会的待遇もついてくるべきではないかという「社会進歩説」もあります。

大学生の就職優位性が薄まり、仕事の経験とともに自らの価値を増やしていく時代が到来しつつあります。

企業側もそれに順応できるような人材採用と人材教育戦略を見直さなければならないと考えられます。