ブルーネット人材発 人的資源マネジメント情報シリーズ(一)

調査報告――華南地域日系企業 福利厚生普及率について

中国全土においてワーカー不足が相次ぎ、製造業中心の華南地域から広がった労務問題が一時的に社会問題にまで発展しました。長すぎる労働時間、混乱する管理制度、過酷な作業環境、そして低い賃金水準と不十分な福利厚生などを訴えるストライキ事件や自殺が発生しました。

これに対して、中国政府や企業側は従業員の賃金を20%〜30%上げるなどの対応をしました。

賃上げは工員の気持ちを多少落ち着かせ、生産を正常に戻し、功を奏したように見受けられますが、この平穏さは果たしていつまで続くのでしょうか。
現在、人民元高や前述の賃上げにより企業の負担は大きくなっています。
従業員に対して、目先の賃金を上げる以外の方法で満足度を高め、根本的かつ有効な解決案を探ることは企業にとっての新たな課題となっています。

今日から始まるこのコラムの場を借りて、HR(人的資源)管理という課題を中心に、政策の方向性、賃金情報、アンケート調査の集計結果、そして私たち日々の仕事の心得を皆様と共有していきたいと考えております。皆様のお仕事に役立つヒントとなれば幸いです。


ブルーネット人材 福利厚生普及率アンケート調査



先ずは、ブルーネット人材が5月〜6月にかけて華南地域の日系企業(製造業、貿易会社を中心に79社)に対し実施した『福利厚生に関するアンケート調査結果』をご紹介します。
アンケートは、生理型(1〜4)、手当型(5〜8)、心理型(9〜12)の三つの分類で調査を行いました。
各分類の詳細について、以下に述べます。

① 生理型福利

この種の福利厚生は基本型ともいわれるほど、中国では最も一般的に採用されています。調査結果によると、年度健康診断と有給以外の休暇の実施率は94.9%と77.2%という高い水準です。これは今回の調査対象の中心が製造業企業で、一箇所に多くの労働者が集まっている時間が長いため、伝染病予防への対策のため実施率が高くなっています。また、家族を大事にする中国人が旧正月国慶節で長い間帰省することが『有給以外の休暇』の実施率を押し上げています。

一方、商業意外保険と季節手当の普及率は半分程度で、その認知度も低いのが現状です。特に商業意外保険と社会保険とを混同している企業もありました。この結果を受けて、6月と7月のセミナーでは、中国の社会保険制度と高温手当を扱い、ご好評いただきました。

② 手当型福利

こちらは賃金や生活費との関連性が高い分類です。中国財政部が2009年11月に発表した福利費財務管理の関連通知(『242号文』)により、「貨幣化手当は福利管理費用でなく給与総額に計上しなけれならない」となりました。結果、個人所得税の納税対象が広がり、所得税の額が上昇することになりました。アンケート調査の結果によると、半数以上の企業が手当型福利を提供していますが、備考欄に寮や社バスの提供などの記述もありました。
従業員の生活水準を上げようとする際、設備の提供と現金の支給という二つの手段の詳細についてさらに調査したうえ、どのような形をとれば企業と従業員両方とも得することができるかを、財政的にご提案していきたいと考えます。



③ 心理型福利

こちらの調査結果では、日系企業の『人材教育への熱心さ(72.2%)』、『家族雰囲気を作り出す努力(94.9%)』、そして『中国人の習慣を尊重する管理姿勢(83.5%)』という特徴が読み取れます。
これらは従業員の責任感と帰属意識につながると考えられます。そして、多くの中国系企業もこの考え方を重視し始め、最近、日系企業の人的資源マネジメント専門家に対する需要が高まっております。将来的には流動性の高い中国の人材市場において、日本流の人的資源マネジメントが浸透する可能性もあると思われます。



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