ブルーネット人材発 人的資源マネジメント情報シリーズ 「中国人事マネージメントのキーマンは直属の上司」

「人事マネージメントのキーマンは直属の上司」

人事において有能な人物を如何に残すかということは誰しも考えることですね。
現実として、辞めてほしくない人間が去り、辞めてほしい人間が残ってしまう事はどこの職場でも抱えている問題ではないでしょうか?

例えばA社ではこういう事がありました:

私が去る前に、今育てている有能なローカルスタッフを昇格させ、今の仕事の大部分を任せたいと思っている。しかし、彼女は同じタイミングで、何か転職を考えているみたいだ。同業者に引き抜かれるという噂もたっている。しかし、手段を講じてみたが効果が無かった。結果的にその有能なスタッフは自らが在職中に「親の面倒を見ること」を理由にし退職していった。

ここで気になるのが、本当に手段を講じたのかということです。
実際、こういうケースは多くみられます。ここで気になるのが、人事の態度というより、マネージャーとしてどういう手を打っていたのかです。

ここで上述マネージャーB氏は引止め作戦を込めて、遅ればせながら何気なく、これこれこういう訳で、あなたの昇格を考えているということを伝えました。これは給与が上がるということ意味しています。しかし、その時は彼女からは給与をどうしたいとの希望があった訳でもなかったのですが、上がってもたいしたことは無いのだろうというリアクションが感じられたというのです。

その後、彼女はマネージャーB氏に給与をもっと上げてほしいということを主張して、その後2週間後に退職届を出しました。

実際、マネージャーB氏は給与アップに対し、開口一番こういいました。
「前例が無い」、「上げてあげたいが人事がどういうか分からない」と。
その後、このやり取りは人事には何も伝わらないまま、部下である彼女は自主退職していきました。

仮にこういえば事態は変わったかもしれません:

「君の主張はよく分かった。しかし、ここまで要求するのなら、あなたは最低「XX」、「XX」の仕事を完璧にできなくてはいけない。このことはわが社のルールには無いが、あなたがそこまで仕事をやりきりたいという熱意があるのなら、人事に掛け合ってみる」

 マネージャーは部下の昇格ルールを熟知し、その人間が何をすれば、どういう待遇が得られるか説明できて初めて信頼が得られます。仮にそれが難しい状態でもこれこれこういう訳で、この人材を残したいとの意思が伝えなければ、人材流失は免れません。
「前例がない」とさじを投げる上司は尊敬されるでしょうか?最低限自分のために戦っている上司の姿を見て、残るかどうか決める可能性も無きにしもあらずです。

会社経営の中で一番避けたいのが、辞められて困る人がどんどん辞めていくことです。
「あいつは何で辞めていくか?」と嘆き、「やはり他の人間と何も変わりはしない」と思うだけで終わったら、今後もずっと有能な人間に辞められる可能性は高くなります。

横並びの人事では有能な人間は残せないと感じている管理者は多数ですが、その人間に対し課題を設定し、それがクリアされれば給与アップという何らかしらの措置を取る事は簡単でないと思われます。

しかし、そういった制度の採用要否を議論する以前に直属の上司がどういう考え方で人事問題に対応しているかが重要です。

「人事?それは俺じゃなくて人事課の仕事だ」では済ませれないのが現状です。
少なくとも、何かよく分からないうちに辞められていたという状況は避けたいものです。

実際、誰を引き止めるのかの希望は直属の上司から出されます。それが強いか弱いかが問われているのです。

次回は、優秀人材を制度によってうまく活用している例を紹介していきます。


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